研究概要 |
本研究は多国籍企業がホスト国の消費者市場に参入を考える場合にいかなる参入形態選択すべきかを理論的に分析することを主眼としている。その際に主に2つの観点からの分析を考えている。一つ目はブランドの差別化の度合いに応じて参入形態が変わるのかという考え方である。また、二つ目は流通チャネルコントロールの問題にマルチタスクのプリンシパル・エージェントモデルなどを応用することでメーカーと小売りの指向の違いが参入形態を変えるという考え方である。 一つ目のブランド差別化問題については香港城市大学のChia-Hui Lu氏を海外共同研究者として寡占モデルと垂直統合のモデルを組み合わして分析を行っている。現在、理論モデルの構築および一部の比較静学分析の結果が出ているが、海外における研究発表を通じてさらなる理論分析の必要性が明らかになった。平成20年度中には基本文献のまとめは行ったものの、関連文献などといかに差別化を図るかをさらに検討する必要がある。 二つ目のマルチタスクのプリンシパル・エージェントモデルによる流通チャネルの分析では、Mi lgrom and Roberts(1991),Gibbons(2005)やGrossman and Helpman(2004)などの関連文献をもとに市田単独で理論モデル化を行い、シドニーのアジア太平洋貿易学会やワルシャワの欧州貿易研究学会にて研究発表を行った。現在のモデルはオリジナルのGibbonsに近い形となっており、もう少しセットアップなどに工夫を入れないと欧米の学術雑誌に投稿できる形にならないので平成21年度に研究の続きを行いたい。 平成20年度は本研究費の初年度であったために、パソコン用のモニタやノート型のPCを購入して研究環境が整ってきた。とくにノート型は海外出張の際にも持参して飛行機やホテルなどでの時間の有効利用ができるために助かっている。
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