研究概要 |
本研究は多国籍企業がホスト国の消費者市場に参入を考える場合にいかなる参入形態選択すべきかを理論的に分析することを主眼としている。その際に主に3つの観点からの分析を考えている。一つ目はブランドの差別化の度合いに応じて参入形態が変わるのかという考え方である。また、二つ目は流通チャネルコントロールの問題にマルチタスクのプリンシパル・エージェントモデルなどを応用することでメーカーと小売りの指向の違いが参入形態を変えるという考え方である。三つ目はクロスボーダーのM&Aで相手国市場に参入する際のブランド戦略を買収先企業のブランドと統合するのか、それとも、ブランドを別々にキープするのかをいかにして決めるのかという観点である。 一つ目のブランド差別化問題については香港城市大学のChia-Hui Lu氏を海外共同研究者として寡占モデルと垂直統合のモデルを組み合わして分析を行っている。この論文は2007年にアテネの欧州貿易研究学会やキプロス大学にて発表を行った。現在改訂作業中である。二つ目のマルチタスクのプリンシパル・エージェントモデルによる流通チャネルの分析では、Milgrom and Robert(1991),Gibbons(2005)やGrossman and Helpman(2004)などの関連文献をもとに市田単独で理論モデル化を行い、2008年にシドニーのアジア太平洋貿易学会やワルシャワの欧州貿易研究学会にて研究発表を行った。この論文もジャーナル投稿に向けての準備中である。三つ目のクロスボーダーのM&Aのブランド戦略のモデルは、寡占モデルを用いて、ブランドの統合と分割戦略を分析している。2009年ローマでの欧州貿易研究学会、ペンシルバニア州立大学での中西部国際経済学会と、2010年台湾国立中央大学にて発表を行い、現在それらで得られたコメントをもとに改訂中である。
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