研究概要 |
プラットフォームを中心とした補完的コンポーネント製品市場における取引構造,システム製品企業間の競争,互換性および品質選択に関する産業組織論分野における最近の理論的研究の文献展望を行なった。この展望作業で得られた知見をベースにして,補完製品の市場構造における「補完合併」と「垂直統合」の経済厚生について検討を行なったMaruyama and Minamikawa[2007]のモデル分析を,より一般的な仮定のもとで拡張させた。その成果を,改訂論文"Desirability of Merger among Complements"(未公刊)にまとめた。また,複数種類のコンポーネント製品が代替的な競争関係にある状況を想定して同様の問題を検討した, "Vertical Structure of Market and Product Quality"についても,より一般的な仮定のもとでモデル分析の部分を拡張させ,同タイトルの未公刊論文としてまとめた。さらに,補完製品市場における,相互に補完的な製品を販売する企業間の合併へのインセンティブ,および混合バンドリングへの規制の効果に関する理論的分析を, "Vertical Integration,Bundled Discount and Welfare"として完結させ,査読雑誌に掲載した。ゲームソフト開発メーカーが新規ゲームソフトタイトルをリリースしようとする際の,ゲーム機種を選択する意思決定行動の規定因を実証的に明らかにした分析の成果, "Network Structure of Video Game Software in Japan:Some Empirical Results"については,査読雑誌への投稿に向けてさらに分析の精緻化を行なうことが次年度の課題と考えている。
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