研究課題
「研究目的」、「研究実施計画」で記したように、平成21年度は平成20年度に行った「働き方の多様化に関するアンケート」の分析結果を公表することを計画していたが、国内では、二つの学術論文にて成果の公表を行った。また、海外においては、フランスのパリ10大学における人口社会に関する招待セミナーで「雇用の多様化が家族形成に及ぼす影響-日本の現状(L'impact de la diversification des formes d'emploi sur la construction familiale : la situation actuelle du Japon」と題して研究成果の重要な一部分を紹介した。日本での、若年層に広がる雇用多様化が、若年層の家族制約にマッチするような様々な働き方を提供しておらず、むしろ、長期期待所得の低下を引き起こし、家族形成を遅らせたり、子ども数を減らしたりしているとの分析結果は、フランス人口学研究者の間にも関心を持たれ、様々な観点からの議論をもたらした。海外での報告は、最終年度に計画する、国際比較研究につながる大変意義深いものとなった。また、国際比較分析のための基礎作業をすることも平成21年度の主要な計画の一つであったが、兵庫県および、財団法人兵庫勤労福祉センターの協力の下、仕事や家庭に関するアンケート調査を作成、フランス人男女20-49歳の雇用者2000人に対し、WEB上でアンケートを実施することができた。現在、データ分析を進めているが、フランスにおいても、有期限雇用や派遣、無期限雇用のパートタイムなどいわゆる日本でいう「非正規社員」にあたる働き方は、女性の割合が高く、また、法的結婚をしている割合が低いなどが明らかになっている。最終年度の研究の総括につながっていく、重要な調査が平成21年度中に計画どおり実施することができた。
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すべて 雑誌論文 (3件) (うち査読あり 2件) 学会発表 (1件)
京都産業大学論集社会科学系列 27
ページ: 145-182
季刊家計経済研究 84
ページ: 80-89
The History of Child Labor in Japan, Hugh Hindman ed, The World of Child Labor : An Historical and Regional Survey(M.E.Sharpe)
ページ: 881-887