研究概要 |
第2年度は、第1年度の研究((I)従来の理論整理と仮説の設定、(II)計量分析のためのデータ分析)を踏まえ、日系企業の地域別・業種別国際競争力の推定、(III)海外進出企業の調査・整理を進めた。 分析指標は、企業の国際競争力指標として、Deanne Juliusが提案したNet Foreign Salesを基礎にしたものである。分析成果は稲葉和夫、「企業の国際競争力指標の捉え方についての一考察」、『立命館経済学』、Kazuo Inaba, "International Competitiveness of the Japanese Firms"にまとめている。 前者の論文では、分析期間を海外直接投資が急増した1980年代後半から2006年までを対象としている。まず、1980年代では、Net Foreign SalesがNet Exportsをわずかに上回るだけであったが、その後その差は拡大し、日本の国際競争力の強化を裏付けている。産業別では、輸送機器、電気機器などの輸出産業において顕著であるとともに、国内での輸出競争力を失った繊維、非鉄金属でもNet Foreign SalesがNetExportsを上回り、海外において競争力の回復が伺える。 後者の論文では、日本企業の進出先を北米、アジア、欧州に分けて分析を行った。どの地域においても2004年時点でのNet Foreign SalesはNet Exportsを大きく上回っている。計量分析のための基礎的データ分析と企業の国際競争力指標を確定することができたので、次年度は今年度の海外子会社の調査を踏まえ、国際競争力の規定要因について計量分析を行う。
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