本研究では、金融制度理論を分析の背景において、ベトナム金融システムとその問題を明らかにすると共に、企業のグループ化とそこでの内部資本市場の機能と具体的なメカニズムを分析し、さらにそれがどれだけ不完全な外部市場の欠陥を補うべく有効性を発揮できるものなのかどうかの検討を加えることを目的としている。この研究目的を実践するために以下の5項目を明らかにしようとしている。(1) 外部資本市場の現状を実態的に把握する。(2) 企業集団のあり方、内部金融機関の機能を理解する。(3) 総公司(General Corporation=GC)に属するメンバー企業(GC企業、母集団578社)の資金調達のあり方を考察する。(4) 内部金融機関の資金配分原理、そして(5)内部金融機関は配分の選択、決定に当たってどこまで自主権を主張できるのか、その効率性を目指すインセンティブは何処にあるかを確認する。 平成20年度は、(1)について、事前調査の結果を使って大雑把な実態把握によってまとめ、学会発表と雑誌投稿を研究協力者のDr.Son Dang Ducと共に行った。現在投稿誌のレフェリーコメントに沿ったrevisingの途中である。Quantitative analysisは叶わなかったが、現行の資本市場の特徴や問題点の部分的解明は果たしたと考える。加えて、(2)、(3)、そして(4) についての調査を進めてきているので、出来るだけデータの整理を完了させるとともに分析に取りかかりたい。
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