本研究では、制度、組織分析の面からのアプローチにより、ベトナム金融システムの問題とともに、企業のグループ化とそこでの内部資本市場の機能とメカニズムを明らかにすることを目的としている。その為に、(1)最初に、金融政策やシステムの現状から銀行の貸出行動を通して制度化の問題と共に外部資本市場の現状を把握する。 (2)次に、企業集団のあり方について、そして内部金融機関の機能を資金調達構造とともに明らかにしたい。 (3)そして、調査データを使って総公司(General Corporation=GC)に属するメンバー企業(GC企業)の資金調達のあり方の特徴を国営企業や民間企業と比較しながら、主な資金調達先である国営商業銀行の貸出態度と関連させて考察する。 (4)また、内部金融機関の資金配分原理はどのようなものか。メンバー企業に対し、どのようなメカニズムで優遇資金の提供が行われているのかに関し、統計的分析を加えたい。 (5)内部金融機関の自主権と効率性を目指すインセンティブは何処にあるかを確認する。 最終年度は、(3)と(4)に集中して研究を行い、その成果の一部を東北経済学会の学会誌に掲載した。(5)を含めた総体的な議論は本年中にまとめて、その成果は国内外に公表する予定となっている。
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