研究課題
(1) 研究計画通り、中国各省の地域接続産業連関表を推計するために、紙媒体のデータを電子媒体に入力する作業を行い、全体の7割がたを終了し、平成21年度中の接続産業連関表推計作業の完成にむけて着実に前進した。(2) 2002の省レベルの地域産連関表のうち、輸出・輸入・移出・移入のデータが完備されている江蘇省など7地域を選び、これらの地域の諸産業部門の産出乗数を統計年鑑や全国産業連関表などのデータからノンサーベイ手法によって推計し、推計値を地域産業連関表から直接計算される実際値とつきあわせて推計精度を評価した。推計では、(1) Stevensほか(1983)のRPC法と(2) Flegg and Weber(1995)のFLQ手法を改良した新手法を用いた。推定された産出乗数は従来多用されてきたノンサーベイ手法であるSLQ法によるものよりも若干推定精度がよくなることがわかった。本手法を更に改良すれば、地域産業連関表が未公開の地域についても、地域むけ投資の生産誘発効果の大まかな推定が可能になるという展望をもった。(3) 地域産業連関と産業集積と地域経済成長の関係に着目した実証分析を行った。非常に高い経済成長を遂げている江蘇省に着目して、諸産業の集積がどのような立地パターンをとっているか(=どこにどのような空間的形状で企業集積が形成されているかおよび集積の立地パターンと地域産業連関の関係性を分析した。分析は、まずGetis and Ord(1992)のGi*統計量によって、諸産業の企業集積の立地パターンを同定した。次に産業発展が相対的に遅れている蘇北地区で集積形成が比較的進んでいる3つの産業に着目して、その集積形成要因とそれにおける連関効果の作用について初歩的考察を行った。また蘇南地区に集積するいくつかの産業を選び、地域産業連関表からそれらの産業と相対的に強い前方連関・後方連関をもっている産業の集積が空間的に近接して立地する傾向があることを見出した。
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『研究年報経済学』(東北大学) Vol.70, No.2(印刷中)