研究課題
以前から実施してきた中国の産業集積と産業連関との関連性に関する研究成果が公表された。これとは別に、繰り越し期間には、(1)中国の省級行政区の接続産業連関表の推計と(2)推計された接続産業連関表を用いた産出変化の構造分解分析(SDA)を実施した。以下、それぞれの概要を説明する。(1)省レベルの接続産業連関表の推計推計対象期間を2002-(05)-07年度、部門数は30、対象地域は、資料的制約から、北京市ほかの14省級行政区とした。このうち、江蘇省表の推計作業が完了しており、北京市・福建省・安徽省・吉林省・江西省・広西自治区の推計作業が進行中である。その他の地域については、デフレーターのもととなる価格指数の公表状況が悪く、各地域の統計局にデータ提供を申請する必要があって、推計作業は大幅に遅延している。また、部門統合をより粗くすれば、一部地域(江蘇省など)については、より長期(1987-92-97-02-07)の推計が可能なため、接続表推計作業は今後とも継続する予定である。(2)産出の構造分解分析による経済成長の要因に関する考察推定された接続産業連関表を用いて、江蘇省の産出変化の構造分解分析を行い、産業連関論の観点から、地域経済成長の要因分析を行った。分析には、Martin & Holland[1992]とLiu & Saal[2001]の分解手法を援用し、(1)域内最終需要、(2)移輸出、(3)輸入代替、(4)技術の変化という4つの要因に分解した。分析の結果、江蘇省の産出成長は、部門によっても相違はあるが、総じて、移輸出の増大に起因するところが大きく、次いで域内最終需要とりわけ固定資本投資の寄与分が大きいことがわかった。今後、他地域の接続表推計が終わり次第、各地域のパターンと比較して、中国の地域経済成長要因の分析として、学術誌に公表する予定である。
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The Keizaigaku, (Annual Report of the Economic Society, Tohoku University)
巻: Vol.72, No.3/4 ページ: 81-85
アジ研ワールドトレンド
巻: No.197 ページ: 12-15