研究課題/領域番号 |
20530233
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研究機関 | 政策研究大学院大学 |
研究代表者 |
和田 義郎 政策研究大学院大学, 政策研究科, 教授 (80456342)
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研究分担者 |
東郷 賢 武蔵大学, 経済学部, 教授 (30308019)
加藤 篤史 青山学院大学, 経営学部, 准教授 (00286923)
蟻川 靖浩 早稲田大学, 商学学術院, 准教授 (90308156)
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キーワード | 経済改革 / インド / ベトナム / 開発援助 / 経済成長 |
研究概要 |
平成20年度においては、とくに、インド、ベトナム、インドネシア、フィリピンの現地調査・ヒアリングを実施した。インドにおいては、近年になって世界銀行の開発政策借款が供与され、経済構造改革が開始されたビハール州を訪問し、ビハール州政府、現地シンクタンクなどと意見を交換した。その結果、インド地方政府においては、政権交代が経済構造改革のきっかけとなったが、必ずしも、地方政府内部から構造改革のイニシアチブが生まれたわけではなく、むしろ、中央政府、および与党国民会議派のイニシアチブによって改革がすすんでおり、州の有識者や住民から強いサポートが得られているわけでもないことが理解された。むしろ、前政権において、インドにおいて過去から色濃く残っているカースト制による支配の構造改革が進んできたことがわかった。ベトナムについては、何度かベトナムを訪問し、ベトナム政府や世銀等とも意見交換を行ったが、改革の進展は、世界銀行や日本の援助によるもの、というよりも、2000年に締結された米越通商協定や、その後のWTO加盟に向けた構造改革のイニシアチブのほうが強かったことがわかった。当初、改革のオーナーシップとして、中国を比較対象として選んでいたが、むしろ、近年、改革の進展が遅い、フィリピンについて対象を変更し、マニラを訪問するとともに、アジア開発銀行による改革支援の方針等をヒアリングした。フィリピンにおいても、投資促進のために、改革を進めているが、その進展は遅い。世界銀行やアジア開発銀行も、フィリピンの改革を支援しようとしているが、経済構造、ガバナンス構造に変化がないために、構造改革が経済成長に結びついているとまではいえない状況であることがわかった。その点については、インドネシアも同様である。なお、平成20年の夏以降、世界的な金融危機・経済危機が発生したため、そのインパクトと政策的対応についても、インド、ベトナム、インドネシア、フィリピンにおいて、分析につとめた。統計データについては、国連データベースの購入などによって、充実につとめるとともに、計量分析のソフトウエアの購入を行い、今後のデータ分析の基礎を築いた。ベトナムについての分析論文については、日本評価学会や早稲田大学と国際協力機構共催シンポジウムなどで発表し、さまざまなコメントを得た。
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