研究概要 |
本年度は、旧英領を含めた西アフリカの地域統合および通貨統合の概要をまとめるとともに、1999年から2006年までの実質実効為替レートの計算とその分析に費やした。ユーロにペグしているCFAフランであるが、本研究では、(1)ユーロが増価しても、物価の抑制に努力することで、CFAフラン圏の実質実効為替レートは増価を抑えられている点。(2)名目為替レートの減価著しい周辺地域(ナイジェリア)の実質実効為替レートの方が増価傾向にある点等が明らかになった。これにより、従来よりユーロにペグすることのデメリットの一つとして指摘されてきた「CFAフラン圏の競争力低下」については、少なくとも1999-2006期間については払拭された。これはCFAフラン圏の研究において重要な貢献になると思われる。また、西アフリカ12カ国の実質実効為替レート(1999-2006)の動きから、相関係数を算出し、クラスター分析の手法で、同様の動きを持つ国をグループ分けすることも試みた。以上の研究は、1本の紀要論文、2本の英文ディスカッションペーパーにまとめるとともに、日本アフリカ学会全国大会、日本国際経済学会中部支部定例研究会、Oxford University、Center for the study of African Economies主催の年次国際コンフェランスで発表させて頂いた。なお、研究計画では、CGEモデルの構築まで完了するはずであったが、ベルギーのブリュッセル自由大学で開催された研修に参加し基礎的な知識を蓄えるに留まっている。上記以外に、IMFから出版された、Anne-Marie Gulde, Charalambos Tsangarides ed. The CFA Franc Zone, Common Currency, Uncommon Challenges, IMF, 2008.について書評を書き、来年度、査読雑誌に掲載されることが決定している。
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