研究概要 |
2009年7月25-28に中国の内モンコルの民族大学で行われた第4回日中国際シンポジュウムに参加した。そこでは「日中における家族構成の変化と少子化・高齢化問題の比較研究」について発表した。中国では、社会保障制度が非常に遅れているにもかかわらず、高齢化のスピードが日本以上の速度で進行しており、今後老親を誰がどのような形で面倒を見るかは、大きな社会的問題となることを確認した。さらに中国では、国内において所得格差が大きく、人々は経済水準の低い地域から高い地域への移動のインセンテイブが、非常に高い。最近では、国内だけではなく海外への留学あるいは海外に職を求める人々が増えている。このことが子供にどのような影響を与えるかは、今後の重要な研究課題でありキーポイントとなるように思われる。 10月末には、オランダとイギリスで現地の研究者と研究課題について議論し、今後の共同研究の方向性を確認した。オランダでは、日本と同じような伝統的な家族制度が残存しており、今後の進展が注目される。イギリスにおいても、女性の社会進出・独立した生活スタイルが浸透してきている。また積極的に外国人労働者を入れており、経済的効果とともに今後の社会的融合のプロセスについての成果が注目される。 2010年3月には、アメリカにおける現状を調査するとともに、研究者と議論するとともに今後の共同研究について、話し合った。アメリカにおいては、自由な個人主義が浸透し、single mother,離婚、同棲などが多く、このことが子供に及ぼす影響が注目されている。また家族の機能よりも市場におけるサービスの提供によって、問題が解決されようとする動きが主である。しかしこのようた社会においては、家庭においてもビジネスの分野においても、ストレス向があるが、人々はどのような努力をして健康的で安定的な生活を送ろうとしているのかに注目して、研究者と議論しかつ調査を行った。今後の研究の方向性としては、健康度と幸福度との関係を数量的に見出すことである。 日本においては、これまで家族の果たす役割が大きく、家族構成員の社会保障を全面的に支えてさた。しかし経済社会の構造変化とともに、人々特に女性のライフスタイルも大きく変化した。その結果、家族に社会保障機能を担わせることが、不可能になってきた。今日の女性は、これまでの伝統的な結婚・出産・専業主婦というルートではなく、家庭にとどまることなく社会進出して社会に貢献することを人生の目的とするようになってきている。その結果、未婚化、晩婚化、離婚が増えてきている。今年度においては、このような現象と社会保障制度をどのように調和していくかについて、集中的に研究を重ねた。その成果は、2010年度3月に論文としてまとめている。
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