研究概要 |
まず、基本的な理論研究として、経済自由化が所得分配に与える理論的なルートを、賃金や雇用に与える影響を通じて検討した。そのため、経済自由化が、賃金プレミアム(技術バイアス)、非正規雇用の拡大、アウトソーシング、産業間労働移動、地域間賃金格差など、労働市場を通じた様々な影響にっいての理論的研究のサーベイを行った。また、経済自由化による、消費財の相対価格、貿易財と非貿易財価格などを通じる家計の消費と生産行動への影響に関する理論的サーベイを実施した。 データの入手と整備としては、ブラジル国土地理院の家計調査(Pesquisa Nacional por Amostra de Domicilios)、ブラジル労働雇用省のRAIS(Relacao Anual de Informacoes Sociais)、メキシコ統計局による家計調査(Encuesta Nacional de Ingresos y Gastos de Hogares)、エルサルバドルの家計調査(Encuesta de Hopgares de Propositos Multiples)、World Bank, Investment Climate Survey: Brazilなどを、購入もしくは寄贈で入手した。 こうしたデータを用い、ブラジルに関し、具体的に以下の3つの研究を実施した。(1)経済自由化がブラジルの生産性にどのように影響したのか、(2)経済自由化がブラジルの経済成長と消費行動にどのように影響したのか、(3)経済自由化によるエタノール生産の拡大が、サトウキビ労働者の雇用や労働条件にどのような影響を与えたのか。
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