研究課題/領域番号 |
20530238
|
研究機関 | 神戸大学 |
研究代表者 |
西島 章次 神戸大学, 経済経営研究所, 教授 (70116234)
|
研究分担者 |
浜口 伸明 神戸大学, 経済経営研究所, 教授 (70379460)
|
キーワード | ブラジル / 家計調査データ / 所得分配 / 賃金プレミアム / 経済自由化 / 所得再分配政策 / 非正規労働 / アウトソーシング |
研究概要 |
平成21年度の研究実績は、大きく4つに区分される。 (1)ブラジルの家計調査データ(PNAD)を用い、サトウキビ産業に従事する労働者の賃金、雇用の状況を94-07年に関して分析し、機械化によって雇用が低下する傾向にあると同時に、正規雇用比率の上昇、教育年数の増加により賃金が他の農業労働者に比して改善傾向にあることを明らかにした。また、パネルデータを用いて、機械化の雇用への影響を実証した。 (2)ブラジルの08年のPNAD、07年の人口調査を用い、地域間所得格差の縮小と人口移動の流れが増加していることを実証した。一つの理由として、これまで後進的であった地域において、高学歴の技能労働者を先進地域から引きつける集積の経済が発生しつつあることが明らかとなった。 (3)世界銀行の企業データを用い、貿易自由化が企業の生産性にどのような影響を与えたかを、確率フロンティア分析によって算出したTFPを用いて実証した。企業のオープネスの指標のみならず、技術者比率や非生産労働者比率が生産性に有意であることが明らかとなったが、今後は家計調査データとのマッチングが課題である。 (4)現在進行中の研究として、家計調査データや企業データ(RAIS)を用いて、賃金の産業プレミアムに関する実証研究を実施しており、賃金や所得の改善に果たす産業の生産性などの役割を分析している。ここでも賃金の産業プレミアムは企業のオープネスの関数と考えている。
|