研究課題/領域番号 |
20530238
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研究機関 | 神戸大学 |
研究代表者 |
西島 章次 神戸大学, 経済経営研究所, 教授 (70116234)
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研究分担者 |
浜口 伸明 神戸大学, 経済経営研究所, 教授 (70379460)
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キーワード | ブラジル / 家計調査データ / 所得分配 / 賃金プレミアム / 経済自由化 / 所得再分配政策 / 非正規労働 / アウトソーシング |
研究概要 |
本年度の研究実績は、大きく3つに区分される。 第1は、ブラジルの家計調査データ(PNAD)を用い、製造業21業種の賃金プレミアムを計測し、産業特性による所得分配への影響を検討したことである。まず、ミンサー型賃金関数の推定において、産業ダミーによって産業の賃金プレミアムを推定し、第2段階では、これの決定要因分析を行い、経済自由化の賃金プレミアムへの影響を実証した。 第2は、世界銀行の企業データを用い、貿易自由化が企業の生産性にどのような影響を与えたかについて実証したことである。まず、確率フロンティア分析によってTFPを算出し、次に、これを用いて企業のオープネスの指標、技術者比率、非生産労働者比率が生産性に与える効果について回帰分析を行い、これらが生産性に対して有意であることが明らかとなった。 第3は、本研究の研究期間(平成20年~22年)における研究成果を、『ブラジルにおける経済自由化の実証研究』というタイトルで研究叢書に取りまとめたことである。家計調査データ、企業データなどを用い、ブラジルにおいて経済自由化やそれに基づくskill biased technical changeが生産性や所得分配などにどのように影響したかについての我が国で初めての体系的な研究となったと考えている。 今後の課題としては、生産性、賃金プレミアムなどの変化が具体的にどのように所得分配に影響しているかを実証することが必要である。
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