本研究は、為替レートの不完全なパススルー効果と不完全な資本市場を持っている2国動学的確率的一般均衡(DSGE)モデルに基づいて、中国の金融政策、為替政策の中国経済と日本をはじめ中国の主要な貿易相手国の経済への影響をシミュレーションによって分析した。そして、次のような主な結論が得られた。 (1)中国の不安定なインフレの変動を抑える対策として、本研究はMcCallumルールを提案した。本研究の分析によって、Taylorルールに比べて、McCallumルールは中国の実質産出の変動を多少大きくもたらすが、中国のインフレの安定に大きく貢献するという結論が得られた。 (2)また、本研究の分析によって、中国政策当局の不対称な目的関数のもとでの金融政策自体は中国のインフレの変動が中国の実質産出の変動よりもっと大きい原因であるという結論が得られた。 (3)さらに、本研究は中国の経済を管理するために、中国の実質産出の安定とインフレの安定だけではなく、中国の実質為替レートの安定をもターゲットするという代替金融政策を提案した。本研究の分析によって、この代替金融政策はインフレの安定に大きく貢献するということが分かった。 (4)最後に、本研究の分析によって、中国の金融政策、為替政策の変動による日本をはじめ中国の主な貿易相手国への影響はそれほど大きくないということが分かった。
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