本研究の目的は、産業内貿易に基づく持続的発展可能な日本の産業構造構築と産業調整コストを研究することである。 第1年目にあたる平成20年度の調査研究の内容は、主につぎの3点である。 (1)1950年代から世界の貿易は、産業間貿易パターンから産業内貿易パターンへ大きく変化してきたが、その主な原因は何なのか。そのような新たな貿易パターンを説明する産業内貿易理論はどのようなものが考えられるのか。1960年代から今日までの産業内貿易理論の文献を概観(サーベイ)するともに、主な産業内貿易理論の長所や課題は何かを整理した。 (2)産業調整コストを調べるために、産業内貿易理論のひとつのセミマクロモデルとして自動車・同部品産業に関するセミマクロ経済モデルを構築した。その新たなモデルを従前の産業内貿易モデルと比較考量した。 (3)日本の産業内貿易のフレームワークを異なる4つの貿易指標、つまり輸出入、純貿易、総貿易、グルーベル=ロイドの産業内貿易指数(GL-IIT指数)の関係として、自動車・同部品産業を貿易ボックス図によって表現し、産業内貿易の変化分(限界産業内貿易)に基づきこれらの4つの貿易指標と産業調整との関連性を整理した。
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