今年度は主に日本の開発援助(ODA)支出データの更新を行った。データが完全に公開されている新JICAの援助支出を中心にして、OECOの下部組織であるDAC(開発援助委員会)基準による目的・分野別に分類した。新JICA以外の省庁が担当したODAもできるだけ網羅するように努力したが、相変わらず複数の省庁において完全公開されておらず、DACに報告されている日本のODA全体との比較は不可能となり、今後の課題として残された。さらに、地方自治体による開発援助を含む広い意味での海外協力支出の分析に着手した。各地方自治体が執行しているODA案件の数と額は、中央政府と比較して圧倒的に少数であろうが、ODAとして配分していること自体は間違いなさそうである。つまり、各自治体は中央省庁と同様にそれぞれODAを配分している援助機関とみなすことができる。事実、中央政府から各自治体に配分されている資金(特に旧自治省などを経由した)は明確に日本政府のODAとしてカウントされており、DACなどにも報告されているはずである。しかし、各自治体が独自に行っている海外支援等の支出は、おそらく日本のODA支出には含まれておらず、厳密にはODAデータの漏れとなっている可能性が高いのである。インターネットに公開されている最新の情報は、自治体により質・量ともに千差万別であり、何らかの統一した(DACやCRSのような)基準による分類は来年度以降に引き継がれることになった。
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