今年度は昨年度同様、日本の開発援助(ODA)支出データの更新を行った。JICAの援助支出を中心にして、OECDの下部組織であるDAC(開発援助委員会)基準による目的・分野別に分類した。JICA以外の省庁や関連団体が担当したODAもできるだけ網羅するように努力したが、情報公開していない機関も依然として少なからず存在している。技術援助に関しては、JICAも各案件別支出額を全て公開しているわけではなく、更なる情報公開が望まれる。 今年度から、日本の二国間ODAに関して、DAC基準(CRS)の広い意味での見直しを行った。従来から、CRSによるODAの支出目的別分類は大きな問題を抱えていた。それは、単一のODAプロジェクトの金額がどれほど大きくても、あるいは、その効果がどれほど広範であったとしても、CRSの分類は1つに限られていることである。例えば、巨大なダムプロジェクトは、その直接的効果だけでも、建築、上水道、農業用水、工業用水、発電、アルミニウム・肥料生産など広範にわたり、間接的には、ダムや発電所の管理能力や公衆衛生の向上など現地の人々に対する影響も大きいと予想される。一方、その支出はCRSによると(多目的)ダム(建築)のみに分類される。この問題を解決するため、各プロジェクトに対して、影響を受ける複数のセクターを表す変数を加えることにし、鋭意改訂中である。 最後に、昨年度から引き続き、地方自治体による開発援助を含む広い意味での海外協力支出のデータ収集を進めた。インターネットへの情報公開度が高いという理由から、最近の群馬県と神奈川県のデータの構築を終えたばかりである。
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