(1)最も一般的なケースとして、利己的な拠出国と受入国の仮定の下、両国の(所得や資源の)初期状態を所与として、単純なゲーム理論的枠組みで援助分配の分析を試みる。つまり、新古典派生産関数を仮定した1財モデルを基に、簡単なゲーム的状況を念頭に置きながら、拠出国と受入国がそれぞれ取る行動とその結果について分析する。その後、拠出国や受入国の数を複数として、お互いの生産要素や生産関数に関する不確実性や非対称性を導入し、利他的な動機も加えたケースも分析する。 (2)上記の理論モデルから統計分析のための計量モデルを導出する。計量分析に用いる援助パネルデータは、CRS データを中心に構成する。最初に計量分析の準備として、パネルデータの基本統計量分析を行う。その後、STATAなどの統計分析ソフトを使い、回帰分析などの計量分析を行う。全世界のみならず、アジアやEUなどの広い地域から、日本やアメリカなどの代表的な拠出国、あるいは、中国、インドネシア、タイなどの受入国別の分析も行う。さらに、BRICS諸国などの新興拠出国のデータ収集も可能な限り進める。
|