今年度は貧困の都市化を検討する上で、インドネシアを題材として研究を行った。具体的には、2008年の世界経済恐慌以降のインドネシアにおける貧困状況の変化と、特に都市部の厚生変化を検討した。また、貧困・社会状況についての政府の政策を検討した。検討にあたっては、2008年、2009年に実施したサンプル調査を計量分析することとした。分析の結果、経済危機の影響は、農村部よりもむしろ都市部で顕著であることが判明した。 他方、インドについては第11次5カ年計画(2007~)以降の貧困政策及び貧困状況のデータを収集し、引き続きデリー大学経済学部(Delhi School of Economics)との連携しつつ、分析を続けている。インドにおいては、2009年に総選挙を実施したが、総選挙前後の貧困政策の推移についてもネルー大学政治学部との連携をはかりながら情報収集している。 関連して、パキスタン及びアフガニスタンにおける経済社会状況を分析し、特に貧困の状況について過去5年程度のデータを入手した。 さらに、中国における貧困データを農村部・都市部に分けて収集した。中国では北京大学と清華大学の研究者とも協力しつつ、同国の貧困政策をレビューした。 最終年度にあたり、これらの研究成果をとりまとめ、インド及び南アジアを代題材として、貧困の都市化に関する研究を完成していきたいと考えている。具体的にはデリー大学と、ネルー大学との研究協力を継続して、内外の学会で発表の予定である。
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