研究概要 |
昨年の報告書に触れたように、本研究は以下の三つの課題に答えることである。 (プロジェクト1)市場構造政策がマクロ経済の長期均衡や成長率に与える影響 (プロジェクト2)補助金政策と通常の財政政策との比較 (フロジェクト3)参入規制・促進政策の一般均衡での厚生分析 それぞれのプロジェクトの進捗状況を示す。 (プロジェクト1)に関しては、昨年度の報告書にも記したが、前段階の分析として、異なる規模の2市場、産業に固有のコストが異なる2産業が存在している時、企業はどちらの市場あるいは産業に参入するのか?そして長期均衡での参入は社会的に見て過小か過剰か?という問題に取り組んでいる。それらの結果は、下記の投稿論文の(1)の形で結実し、掲載が決定した。(2)については、複数の雑誌に投稿したもののreiectであった。 (2)Ohkawa, T., H.Kurata, and M.Okamura(2009), "Inefficient Entry in an Economy with Multiple Industries, "Discussion Paper No.09003. (プロジェクト2)に関しては、下記の森・岡村・飯田論文のモデルを拡張したversionを計算中である。森・岡村・飯田(2007)「産業政策における補助金と政府購入の財政効率性」地域学研究35巻、819-830 (プロジェクト3) 参入規制・促進政策の一般均衡での厚生分析に関しては、次の新しい結果を得た。部分均衡分析(もしくは準線型効用関数)の下では、参入規制が厚生を改善するかどうかは戦略的代替であるか戦略的補完であるかによって決まっていた。これに対し、より一般的な効用関数のクラスでの一般均衡分析では、戦略的補完であっても、参入規制が厚生を改善する可能性をあることを示した。
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