(1)中国・国家統計局発行の人口センサス、就業統計年鑑等を利用して、労働市場における需給構造の地殻変動を分析し、その成果を2009年度中国経済学会全国大会で報告した。報告内容をまとめた論文は後に『東亜』で公表した。 (2)2007年に、珠江デルタで実施した農民工調査、安徽省・江西省で実施した農家調査の個票データを解析し、その成果を幾つかの論文にまとめて学内外の学術誌に公表した。 (3)2009年10月に、上海社会科学院との共同で、上海市で働く農民工および上海戸籍住民(1500人ずつ)を対象としたアンケート調査を実施し、彼らの就業、賃金、暮らしおよび将来展望に関する豊富な一次データを開発した。データの解析は進行中であるが、研究成果の一部は2010年度中国経済学会全国大会で発表する予定である。 (4)安徽省、江西省での農家調査を継続し、農家の人口や労働利用に関して600世帯の個票データを収集した。 このように、大量の一次データの収集、蓄積によって、当初の研究計画は予定通りに実行されつつある。労働力の供給制約が厳しくなる中、都市労働市場がどのように変化していくのか、中国経済はルイスの転換点に差し掛かっているか、といった本研究の基本課題について、最終年度の一年間で中間の成果をまとめる。
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