米中の両極に象徴される大規模な経常収支の不均衡とその解決策が、ここ数年世界経済の大きな課題、そして不安要因として注目されてきた。これまでも国際社会は、一部の国の大規模な収支不均衡に端を発した経済撹乱を幾度となく経験してきてはいる。しかしその多くは、途上国における債務超過と経済破綻などと、それに対する先進経済国の対応という形が一般的であった。これに対して現在世界経済に影を落としているのは、米中の対極的な収支状況に象徴される、途上国から先進国に向けた膨大な資金の流れが生み出す、これまでとは資本貸借の立場が逆転した大規模な不均衡である。 本研究では、このような不均衡の背後にあるとされる為替のミスアラインメント問題を取り上げ、その実証分析を通じて問題の正確な理解や解決の糸口を探るための政策的示唆などを模索することで国際社会への貢献を目指すものである。
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