研究課題
平成20年度については、第1に、分析に用いるデータの整備に注力した。経済産業省中小企業庁による承認統計「金融環境実態調査」の目的外利用に係る許可を得るとともに、経済産業研究所が2008年と2009年に行った、「企業・金融機関との取引実態調査」「金融危機下における企業・金融機関との取引実態調査」の設計に他の研究者とともに参画し、調査を実施する上での主導的な役割を果たした。こうした貢献を通じて、それぞれ約6000社、約4000社からなる調査個票の利用に係る許可を得ることができた。これらの取り組みを通じて、必要なデータを整備することができたと考えている。第2に、実証分析をできるだけ前倒しで進める努力を行った。担保や個人保証が企業行動に与える影響についての論文を、みずほ総合研究所主席研究員小野有人氏、一橋大学経済研究所科学研究費研究員坂井功治氏と"The Effects of Collateral on SME Performance in Japan"として執筆し、日本経済学会、日本金融学会等での発表を行った。この論文は、従来担保の決定要因の分析にとどまってきた既存の文献とは異なり、事前の借り手企業の属性をコントロールした上で、担保・保証人を提供する企業の事後的な属性を、提供しなかった企業のそれとmatching estimationの手法を用いて比較した点に新規性がある。第3に、新規論文の執筆にとどまらず、従来執筆した論文をレフェリーのコメントを踏まえて、大幅に改訂し再投稿する作業を行った。その結果、1本については英文学術誌への掲載が決定した。
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Journal of Money, Credit, and Banking (近刊)(in press)
http://www.ier.hit-u.ac.jp/Japanese/faculty/uesugi_ach.html