研究課題
平成21年度については、第1に、平成20年度に整備を行ったデータに基づき、集計結果の概要を論文にまとめる作業を行った。具体的には、経済産業研究所が2008年と2009年に行った「企業・金融機関との取引実態調査」「金融危機下における企業・金融機関との取引実態調査」に基づき、金融危機下における中小企業金融の現状を記述する論文を共同で執筆した。金融危機後の中小企業がどのような経済状況に直面したか、企業間信用はどのように変化したか、企業と金融機関特にメインバンクとの関係は深くなったのか、政府による貸出市場への介入はどのように企業に影響したか、といった点について分析した。第2に、単なる現状の記述だけではなく、企業金融に係る仮説を検証するための実証分析を行った。買掛金や支払手形といった企業間信用に焦点を当て、その利用の有無や期間に係る決定要因をmultinomial logitモデルによって分析した論文を、神戸大学経営学部内田浩史准教授、一橋大学大学院経済学研究科布袋正樹氏と執筆した。この論文は、これまでの企業間信用に関する理論仮説に基づき、従来ではなかなか得られなかった変数に係るデータを「企業・金融機関との取引実態調査」、「金融危機下における企業・金融機関との取引実態調査」に基づいて入手し、推計を行った点に特徴がある。第3に、新規論文の執筆にとどまらず、従来執筆した論文をレフェリーのコメントを踏まえて、改訂し再投稿する作業を行った。その結果、1本については英文学術誌への掲載が決定した。
すべて 2010 2009 その他
すべて 雑誌論文 (5件) (うち査読あり 1件) 学会発表 (1件) 備考 (1件)
Journal of Banking and Finance (In Press)
日本銀行ワーキングペーパーシリーズ 10-J-5
ページ: 1-32
中小企業のライフサイクルと地域金融機関の役割 第5章「つながり力」とリレーションシップ・バンキング(社団法人全国信用金庫協会編)(近代セールス社)
ページ: 89-112
RIETI Discussion Paper Series 09-J-020
ページ: 1-96
Restructuring Small and Medium-Size Enterprises in the Age of Globalization Chapter 10, The Special Credit Guarantee Program in Japan(Joo Hoon Kim and Sang-Hyop Lee ed.)(KDI(Korean Development Institute)Press)
ページ: 193-214
http://www.ier.hit-u.ac.jp/Japanese/faculty/uesugi_ach.html