本研究では、地域中堅・中小企業および第三セクター再生とその手法・機関について研究を行った。その結果、次の結論を得た。地域の中堅・中小企業再生に関しては、バランスシート改善の方策が整い、一定の成果を挙げている。具体的には、私的整理の枠組みとして、各都道府県の中小企業再生支援協議会の活動が定着し、DESやDDSなどの再生策が導入されたこと、裁判外紛争処理制度(いわゆるADR)の導入によって、企業再生ADRが活動を開始したこと、さらに企業再生支援機構が発足したこと、などである。企業再生支援機構については、当初地方版産業再生機構と位置付けられていたが、最初の案件として日本航空を手がけたため、地方版産業再生機構としての役割が疑問視されているが、その後は地域の企業を再生対象とした取組を進めている。しかし、その一方で地域中堅・中小企業の業績そのものの改善は必ずしも進捗していない。そのためには地域のマクロ的な改善が不可欠である。つまり、「点」としての企業の財務内容を改善しても、その企業を取り巻く、「面」としての経済状況が改善しない限り、長期的な再生計画を立案することは難しいのが実情である。そのためには、人材・資源・資金だけでなく、環境やエネルギーも含めた視点からの地域再生が不可欠である。特に、環境分野や自然エネルギーへの投資が地域再生に寄与することが期待される。
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