平成20年度は国際連盟の貿易統計からのデータ抽出と東アジアの貿易統計の収集、およびそれらのコンピュータ入力作業を集中的期に行った。国際連盟のInternational Trade Statistics中から、データのそろっている1924年から1938年について約20カ国の輸出入を選択した。アジアについては、すでに申請者が集めている統計を、さらに補充する収集活動をおこなった。日本、中国、朝鮮、台湾、韓国、満洲国等についてほぼ満足のいく収集をおこなえた。これらをアルバイターによって、入力して電子形態化しデータベースを構築しつつある。現在の入力データ数は約70万である。さらに、これらのデータに国際連合の貿易分類SITC5桁と同産業分類BEC3桁によって、商品別コードを振る作業を進めている。初年度の研究は、ほとんどこの膨大な基礎的作業に費やした。 このデータベース構築は未完であるので、その分析はまだ初発的な状況であるが、以下の点は明らかになりつつある。第一は、東アジアの特異性である。現在まで整理した20カ国の中で、日本と周辺アジア地域の貿易の伸びは傑出しており、他の地域においては類例がまったくない。第二に、アジアのなかでもインドと中国は、1920年代までは貿易の着実な発展が見られるが、その後はむしろ縮小している。この後は商品別分析を進めていく。
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