1. 米国の学術誌Agricultural Historyより条件付きでアクセプトされていた領主の農民に対する建築用木材支給に関する論文を、査読者の要求に従って改訂した。とりわけプロイセン農業改革期に先鋭化した森林盗伐問題について広く研究史のサーベイを行い、この問題に関わるテーゼを論文に組み込んだ。この論文は、2013年秋に、The Practice of Timber-Granting from Lords to Peasants: A Forest-Historical Perspective of the Gutsherrschaft in Brandenburg-Prussia from 1650 to 1850というタイトルで同誌に掲載される。 2.ブランデンブルク州中央文書館所蔵のポツダム県御料林関連史料(Rep. 2 A III F)の調査を開始した。御料林のうち特にアルト・ルピン森林区を対象としながら、農民の燃料用木材収集(Raff- und Leseholzholen)に関する史料を体系的に収集し、その分析を始めた。史料の状況から、このテーマを上記の森林盗伐問題をも絡めながら論じることができるとの感触をえた。このテーマについては、2013年度以降、「18~19世紀プロイセンの『林野』に関する経済史・社会史・環境史的実証研究」(科研費・基盤研究(C))の枠の中で引き続き研究を進め、成果を論文として発表して行きたい。 3.18-19世紀ブランデンブルク=プロイセンの御料林経営について、それを国家財政の一環として捉える視点から研究を行った。このテーマについては、2013年度以降、「近世・近代移行期における公共財供給と『地域社会』:比較史の視角から」(科研費・基盤研究(B))に研究分担者として参加する中で、引き続き研究を進め、成果を発表して行きたい。
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