単一通貨ユーロの歴史的起源は1970年代にある。この時期に、フランスをはじめとするEEC加盟諸国は、石油危機と変動相場制の一般化によって生まれた新しい経済環境に適応するために、通貨の統合を決断した。欧州諸国のような中小規模の工業国にとって、通貨統合は一種の生き残り戦略であった。通貨を統合するには関係する諸国のマクロ経済政策間の調和を図る必要がある。欧州諸国はスタグフレーションと闘う過程で自国の政策を新自由主義理念にもとづく政策に転換した。こうして、これらの諸国は通貨統合を進めるための第一次的な条件を1970年代末までに整えるにいたった。
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