研究概要 |
平成20年度は,(1)トップ・マネジメント層と全社的意思決定に関する先行研究の文献サーベイと,多角化行動・組織行動に関する先行研究領域の文献サーベイを通じて作業仮説の導出を進めた.また,その作業と平行して,(2)東証一部上場企業407社を対象にして,経営者の前職・職歴データと組織構造に関するデータ収集とコーディング作業を行った.具体的には,転職経験者の役員を対象にした前職の企業名,前職離職時の職位,移動年月,移動先企業名,移動時の職位,兼職の有無,主たる職能,役員間の血縁・家族関係,移動元企業と移動先企業の取引関係,移動元企業と移動先企業の所有関係に関する情報を収集・コーディングする作業を推進した.組織構造については、『ダイヤモンド会社組織図』と『会社職員録(上場企業版)』の各年版を利用し,各社『有価証券報告書』と新聞・雑誌情報で補完することで,取締役会以外の全社的意思決定システムの有無,本社のスタッフ機構の有無と規模や機能,各社の組織階層数,組織構造(職能制,一部事業部制,事業部制,カンパニー制)に関する情報を収集,コーディング作業を行った.これらの作業により,役員のキャリアパスに関する個人・企業集計レベルの分析が可能となるとともに,取引関係や所有関係という視点に加えて,役員の企業間移動という観点から日本の経営トップ層の企業間ネットワークの特徴も明らかにできると期待される.さらに,(3)全社レベルの資源配分に関する質問票調査の予備的質問票設計作業を行った。 研究成果の一部は『現代の経営理論』(第3章、有斐閣)として公刊され、組織劣化のテーマで海外発表(Academy of Management,査読付き)を1回行った.
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