本研究は失敗にスポットを当てて、戦略的意思決定の誤りをリカバリーするプロセス、そのメカニズムを発見し、一般化と形式知化を試みることを趣旨としている。 リカバリーとは、一旦、投資判断に誤りがあっても、すぐにそれに気づき、速やかにその失敗を軌道修正し、成果をもたらすことを指している。 今年度、失敗を修正しリカバリーできた企業や組織の詳細な事例研究を進めてきた。が、仮説を数値データによって裏付けるには、十分な観測数が確保できていない。理由は、取材の困難性という点から、経営層レベルからのデータの収集は思うように進まなかったためである。 一方で、詳細なレベルとまでは言えない関連データをもとにして、回帰分析など統計的解析を進めることができた。 こうした一定程度のデータとその分析の過程を通じて、意思決定者(経営層)、現場スタッフ、市場(外部環境)の3者間の相互作用の水準が高いことが、リカバリーの水準に重要な影響を及ぼす可能性があることが示唆できた。 今後は、結果について、逐次、論文へまとめていく予定である。
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