研究概要 |
平成22年度は,地元中・小規模製造企業の前年度調査結果を詳細に解析し,結果を調査対象企業にフィードバックし,追加実態調査(9社,86名)を実施して,両調査(総数11社,180名)を調査報告書にまとめた。 1. 実態調査結果解析と調査結果報告書作成:前年度実施した《企業内コミュニケーションと品質力に関するアンケート》調査結果の追加解析を実施し,その解析結果を調査結果報告書にまとめ,調査対象企業に配布した。 2. 調査の見直しと調査票作成:前回調査を見直し,調査対象者別に5種類のアンケート調査票を作成した。 3. 調査対象企業への調査結果フィードバックと追加調査:調査対象企業各社を訪問して調査結果を報告し,追加調査の目的と方法を説明し,経営状態の変化や生産現場が抱えている課題などの概要を把握した。 4. 調査報告書の作成:両年度の調査の調査報告書《企業内コミュニケーションと品質力に関するアンケート》を作成した。 5. 研究成果の公表:オペレーションズ・マネジメント&ストラテジー学会第2回全国研究発表大会で「IFM(相互作用する場のモデル)を用いた中小製造企業における組織内コミュニケーションの解析」を論文集に執筆し,口頭発表した。上記調査報告書をwebページで公開した。 6. 今回得られた知見:企業内コミュニケーションのミクロな構造に注目して,製造企業の品質創造活動をダイナミックに把握する調査法を開発し,次の知見を得た。(1)品質競争力のコミュニケーション依存性の強さが企業規模によって異なる。(2)品質競争力向上に寄与する企業内コミュニケーションのパターンは企業の規模や成長段階に応じてダイナミックに変化する。(3)雇用形態の正規,非正規の別を間わず,従業員の業務実践に直接機能する組織管理活動,業務遂行活動のそれぞれと品質競争力との間に強い正の相関がある。
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