本研究における「不利益情報」とは、自らにとって必ずしもプラスにならないネガティブな事象、事件や事故の経緯・状況等についての情報のことで、会社(組織)やステークホルダーに対し、近い将来損失を与えかねない事実についての情報すべてを含む、きわめて広範な概念である。 本研究では、組織内外の「情報と伝達」(必要な情報が組織や関係者に適切に伝えられること)に焦点を当て、「不利益情報」の開示、共有、および管理の現状と組織体制等について、1.企業(組織)外のステークホルダーとのコミュニケーションの重要性、2.企業(組織)内部における適切な情報と伝達(のための組織体制および風土、意識)、という2つの視点から組織マネジメントの実態を調査し、現状における諸問題を実証的に検討することとした。さらに、管理可能な「見える」測定指標づくりを指向した。 本年度の研究は、次のとおり実施した。 1.研究協力企業の絞り込みと予備調査 ・20社程度の訪問調査対象企業とテーマ(課題)の絞り込みを行う 具体的には、以下の企業のCSR/広報担当者との面談調査を行った ・東京電力、三菱重工業、日本オラクル、日本商工会議所、鹿島建設、富士テレコム、日本ハム、、NECネッツエスアイ、出光石油、 アサツーディ・ケイ、新日本監査法人 2.調査ならびに分析のためのフレームワークの決定 ・企業人(10名)をメンバーとした研究会を組織し、定期的、継続的な会合を持った 3.次年度以降の課題を明確化を図った ・現状の視察、各企業の資料収集などのため、各社のCSR担当者だけでなく社員各層への聞き取り調査に取り組む。 ・日本版SOX法導入後の内部統制の実施状況について整理する。 以上
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