• 研究課題をさがす
  • 研究者をさがす
  • KAKENの使い方
  1. 課題ページに戻る

2010 年度 実績報告書

行為論的経営資源アプローチの形成

研究課題

研究課題/領域番号 20530338
研究機関一橋大学

研究代表者

沼上 幹  一橋大学, 大学院・商学研究科, 教授 (80208280)

キーワード行為論 / 経営戦略論 / 組織構造 / 創発戦略 / 知識創造
研究概要

平成22年度は,行為論的な経営戦略論の理論基盤を歴史的に整理するべく,経営組織論,とりわけ,日本における実証系の経営戦略論の研究を整理・検討する作業を行なってきた.とくに重要であったのは,当初,組織構造のコンティンジェンシー理論を基礎にして実証研究を行なってきた研究グループが組織文化と戦略概念を導入して役割体系としての組織構造の概念を徐々に不要なものへと変更していったことであった.この流れはその後,創発戦略の議論と結びついて,組織内の行為と相互行為が戦略を創発し,市場構造を創発するというタイプの理論化に発展した.さらにこの創発戦略論の議論を経た後で,新製品開発を通じた新規事業開発と組織変革の研究が進められていくことで,経営組織論の領域における構造概念が後背に退き,行為と相互行為が戦略を生みだし,その戦略が実行されるプロセスで組織内の知識と行動様式が変革されるという知識創造論の基本的な図式が成立してくることが明らかにされた.このようにして,かつては役割体系としての組織構造という概念が,知識・行動様式としての組織という概念に置き換わり,組織構造が経営学の中心から消失していったのである.その構造論喪失のプロセスにおいて,創発戦略論あるいは行為論的な戦略論の果たした役割は非常に大きい.しかし,その行為論的な戦略論が経営者的視点によって活用される場合,再び組織内の行為と相互行為を左右する何らかの要因に注目せざるを得ない.そこに「場の理論」などの必要性が感じ取られた理由があると思われる.そのような概念を超えて,さらに組織メンバーの行為を方向付けるためには,やはり役割体系としての組織構造の概念がもう一度必要になる可能性が高いと思われる.この構造と行為の相互作用が平成22年度の研究成果から浮かび上がった課題である.

  • 研究成果

    (4件)

すべて 2010

すべて 雑誌論文 (2件) 学会発表 (2件)

  • [雑誌論文] 実証的戦略研究の組織観:日本企業の実証研究を中心として2010

    • 著者名/発表者名
      沼上幹
    • 雑誌名

      経営学史学会年報

      巻: 17 ページ: 69-88

  • [雑誌論文] Organizational Deadweight : Leaming from Japan2010

    • 著者名/発表者名
      Tsuyoshi Numagami, Masaru Karube, Toshihiko Kato
    • 雑誌名

      cademy of Management Perspective

      巻: 24(4) ページ: 25-37

  • [学会発表] 日本における実証的組織構造研究の変遷:構造的コンティンジェンシー理論から知識創造論へ2010

    • 著者名/発表者名
      沼上幹
    • 学会等名
      組織学会
    • 発表場所
      学習院大学(東京)
    • 年月日
      2010-10-03
  • [学会発表] 企業経営の永続性に対するコメント2010

    • 著者名/発表者名
      沼上幹
    • 学会等名
      日本経営学会(招待講演)
    • 発表場所
      石専修大学(宮城)
    • 年月日
      2010-09-05

URL: 

公開日: 2012-07-19  

サービス概要 検索マニュアル よくある質問 お知らせ 利用規程 科研費による研究の帰属

Powered by NII kakenhi