1.研究目的 本研究の目的は、CSRが企業価値とどのような関係を有し、それが市場における企業価値形成プロセスにおいてどのような影響をもたらすのかという点を解明することである。平成21年度は、1990年代末にCSRおよびSRI(社会的責任投資)が本格的に導入された日本にフォーカスし、SRIファンドの運用機関、CSR格付機関、機関投資家等の投資哲学や投資行動の変化を確認することを課題とした。企業家(経営者)の企業倫理・経営倫理の側面からみた社会的責任の内容の変遷と、社会的責任投資ファンドの投資基準からみた社会的責任の比較分析を行い、企業価値の内容や市場における企業価値形成プロセスにおける社会的責任の位置づけや評価基準の質的変化を探り、前年度に調査したイギリスとの対比を試みた。 2.具体的な研究活動 (1)文献サーベイ 日本国内で公表されたSRI関係の論文および調査報告書を詳細に検討し、研究者および実務家の視点からみた機関投資家の投資行動の変化とその要因について論点を整理した。また、企業及びマルチステークホルダーにおける「企業の社会的責任」言説変化について分析を行った。 (2)日本国内におけるヒアリング調査 日本国内において、SRI調査機関、NPO、機関投資家から責任投資原則への対応や投資理念や投資行動の変化等についてヒアリング調査を行った。 【主なヒアリング先】 ・NPO法人社会的責任投資フォーラム(SIF-Japan) ・株式会社日本総合研究所 ・損保ジャパン・アセットマネジメント ・住友信託銀行 ・野村証券
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