研究課題
最終年度である本年度は、昨年度からの作業を継続し、越後妻有アートトリエンナーレ、四国・九州アイランドリーグ、瀬戸内国際芸術祭、金沢21世紀美術館エリアに関する資料収集のフィールドワークならびにフォローアップのインタビュー調査を実施した。このうち、四国・九州アイランドリーグ、瀬戸内国際芸術祭、金沢21世紀美術館については、詳細な事例分析を行い、その成果をワーキングペーパーとして取りまとめた。この中で、我々は、地域住民、行政、企業、ボランティア、アーティスト等、本来相容れることが困難な制度固有の論理を持つ利害関係者集団が文化的事業を通じたプラットフォームの模索と形成に深く関与する中で、それぞれの利害を「相互資源化」することによりはじめて動的な資源の活用・循環・創出が可能となるという枠組みを導出した。また、このような協働にかかわるロジックの転換点においては、文化的あるいは社会企業家とも呼ぶべきアクターが重要な役割を果たしていた。特にこの「社会企業家」というアクターがどのようなキャリアで形成され、また社会企業家としての役割を果たしたながら、その事業体や地域プラットフォームとの関わりを展開させ、離脱することもあり得るのか等については、これまで十分に注目されてこなかった。文化的事業の成長過程は、比較的長期な時間経過を要するため、必ずしも1代の社会企業家やそのチームによって十分な事業的成果や効果が達成しうるとは限らない。この意味において、文化的な事業創造は、関係者による長期的かつ集合的な行為として成立しているとも言えるだろう。
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Working Paper Institute of Economic Research, Kagawa University
巻: 161 ページ: 1-40
巻: 162 ページ: 1-78
巻: 166 ページ: 1-53
巻: 159 ページ: 1-35