初年度からの研究実績の一部について第2年度は、2つの国際学会に受諾された論文を報告した。その際、前者の学会においては欧州における企業内紛争解決制度と解決スキル開発について各国の研究者と情報交換することができた。また、新たな共同研究の道筋も獲得した。この渡航の際、セビリア大学大学院において社会心理学系の研究者と紛争解決スキル開発のための調査アプローチについて議論すると共に、調査に用いているシミュレーションのトライアルを行った。 8月には米国経営学会に出席しコンフリクト・マネジメント部会において資料収集を行うと共に、企業内紛争解決制度の整備については先進国である当地において複数の企業訪問と解決スキル開発についてのさまざまなプログラムを提供している非営利組織から関連資料を収集した。これにはノースウエスタン大学紛争解決研究センターの協力を得た。 昨年度の研究実施計画では、秋季に当該領域の欧州での代表的研究拠点での調査出張を予定していたが、幸い予定先から年度末に客員教授として招請を受けたのでその機会を利用した。代わりに、調査用シミュレーションについて発生していたいくつかの課題を解決し、また8月の訪問調査から派生した課題についての資料収集を行うため訪米した。かねてより協力を得ている研究機関において、この2年間に日本国内で実施した組織内問題解決のシミュレーション結果のデータ分析などについて議論した。またハーバード大学ベイザーマン教授より紹介を受けた、解決スキル育成にかかるコンサルティング会社を訪問し資料収集を行った。 国内においては実務家、社会人大学院生および学部生に組織内紛争と解決プロセスおよび解決技術を検討するためのシミュレーションを行い、実験データを収集した。
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