本年度の研究は、オランダでの柔軟な働き方の企業インタビユー調査およびフィンランドでのITAの第14回大会での学会報告が中心である。 オランダでは、日系企業4社・蘭系企業1社を訪問し、主として人事担当者に柔軟な働き方の実態についてインタビュー調査をした。いずれの企業も、オランダのワークシェアリングに特有なパートタイム労働(正規社員の短時間労働)は許可している。これは、オランダの文化に根づくもので、ワークライフバランスを重要視する彼らの価値観がこうした社会的制度を創出したと分析できる。また、ワッセナーの合意のように、オランダの意思決定は対話を重視するもので、合意が最初に締結され、具体的内容は対話で時間をかけて検討することも明らかになった。ワッセナー合意から28年間を経て、ワークシェアとはパートタイム労働経済であることが判明したことになる。このように労働時間の柔軟性は定着しているが在宅勤務が許可されている企業はオランダでも皆無であった。モバイルによるテレワークは営業部門で普及しているものの、テレワーク普及率が高いといわれるオランダでも在宅勤務は特殊な例として認められていることが判明した。 オランダの実状から、彼らは個人や家族が過ごしやすい働き方を希求しワークライフバランスを実現している点は、日本社会の働き方を提唱する上で重要な示唆を得ることができる ITAの国際学会報告は、日本のある企業の事例から、世界中の最先端技術情報をネットワーク上で収集する方法を分析するとともに、こうした新たなネットワークモデルを提起するものである。日本おけるひとつのイノベーションモデルとして位置付けることができる。
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