企業、大学および公的研究機関でおこなわれる科学研究、特に基礎研究については、その大半が組織あるいはチームでおこなわれているのにもかかわらず、先行研究では分析対象を研究者個人とし、その属性ないしモチベーションと個人業績との関係のみが論ぜられてきた。しかし、組織あるいはチームとしておこなわれる研究の業績は、必ずしも研究者個人の業績の総和にはならない。また、その組織的研究の組織およびプロセスは多様であることが想像される。これらの背景より、「基礎研究の組織は、どのようにマネジメントされているのか?」に加えて、「組織外の研究成果・技術は、どのように導入されているのか?」について、引き続き先行研究および公刊資料のレビューをおこなうとともに、公的研究機関および企業の研究者への聞き取り調査と研究活動ログによる調査をおこない、以下の知見を得た。 ・近い学術分野の研究組織においても、その研究方法によって組織構造が異なり、コミュニケーション・パターンが異なること ・研究マネジャー(リーダー)に職位が近づくほど、実際に研究をおこなう時間は少なくなる。また、コミュニケーション(会議、打ち合わせ、電子メール、電話、予定外のミーティングなど)が増加する。 ・所属する研究組織の規模が大きくなるほど、研究マネジャー(リーダー)は、実際に研究をおこなう時間は少なくなる。また、コミュニケーション(会議、打ち合わせ、電子メール、電話、予定外のミーティングなど)が増加する。
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