今年度は研究最終年度であることから、これまでに実施してきた各種調査研究活動の集大成として国内外から収集した情報・データ・知見の整理と研究課題に対する第一次的な分析を行い研究成果を発表することを試みた。具体的には、成長中小企業とその成果に関わる分析フレームワークをこれまでに収集した国内外の先行研究ならびに学会参加(議論)を通じて構築をし、そこに政策要因を加味した新たな分析枠組みの構築を試みた。その上で、平成20年度に独自に実施したアンケート調査から取得した中小企業の質的経営データと、その後のデータ・マイニングによって充実させた独自の実証研究用中小企業データ・ベースを用いて定量分析を実施した。同時に、そこからわかった分析結果や発見事実について、当該分野を専門とする研究者や実務家(産業政策研究会)との意見交換を通じて、中小企業の成長要因と中小企業政策評価に関わる理論と実践への考察を深めることができた。なお、こうした研究活動の成果の一部は以下の第一次分析論文として公表しているが、同時に、海外の学術専門誌への投稿準備も進めることができた。 江島由裕(2010)「日本のスタートアップ企業の成長要因(1)-デモグラフィーと企業成長-」『大阪経大論集』第61巻第4号。 江島由裕(2011)「日本のスタートアップ企業の成長要因(2)-企業家特性・戦略姿勢・政府支援と企業成長-」『大阪経大論集』第61巻第5号。
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