研究概要 |
1997年から1999年に設立された日本の中小企業は10年間で3,250人の雇用を生み出し成長していることがわかった。しかし、すべての企業が均等に雇用創造している訳ではなく、全体の4.8%(上位25社)から約半数の雇用が創出されていた。同様に、10年間の売上高増加額は約3億5千万円(売上高成長率は4.8%)に達したが、全体の2.9%(上位14社)で売上高全体の約半分を担っていた。こうした企業成長要因の詳細分析は今後本格化させるものの、第一次分析結果からは、政府や大学からの政策的支援はその手段や条件によって企業成長への効果が必ずしも一定ではなく、企業の戦略姿勢や組織のマネジメント要因と相互補完しあって効果が出現する可能性が高いことがわかった。特に、能動的で競争的かつ先駆的な戦略態度、すなわち企業家的な戦略志向性(EO)の保持が企業の成長(雇用ならびに売上)に大きく貢献する可能性が高いことがわかったことから、このEOとフィットした政府支援の在りようが政策効果に大きく影響を与えることが示唆された。今後、第二次分析によりこの点を詳細かつ緻密に解析していくこととしている。
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