平成20年度の研究目的は、今年度行うアンケート調査のための基本的な仮説構築のための既存研究の整理と予備的なインタビュー調査を実施することであった。実際に、予備的なインタビュー調査、既存研究の整理だけでなく、統計分析ソフトを今年度に前倒しして購入しこれを使った分析について指導した修士学生のデータ等を利用して確認した。 大学発ベンチャー企業に対するインタビュー調査は、大学側の協力が得られたため効率的に行うことができた。広島大学ではVBLの三枝先生や西山先生の協力を得て、フェニックスバイオ、ネオシルク、計測サポート、スリーブラケッツといった多様かつ技術的先端性を持つた技術系ベンチャー企業にインタビューすることができた。早稲田大学ではインキュベーションセンターセンター長の大江先生のご協力を得て、トレードサイエンス・早稲田情報研究所と早稲田環境研究所に対するインタビュー調査を行った。また予備的な調査として、日本発産学連携モデルとして知られる「仙台堀切川モデル」の東北大学の堀切川先生に先端的な産学連携の実態をご紹介いただいた。 こうした経験は、二つの研究発表につながった。第一に、産学連携が行われる基盤としてのクラスターについての考察が深まり、経営学会全国大会での発表をより豊のものにしてくれた。また、起業家をキャリア形成の視点から捉えることの重要性を認識し、理論的研究を進め、自身の経験を整理し共著論文を作成した。
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