平成21年度の研究目的は、ベンチャー企業に対するアンケート調査表の作成、アンケート調査の実施、その結果を集計することである。ベンチャー企業研究の第一人者である早稲田大学の松田修一教授の協力を得ながら質問票を作成し、新興市場に2000年以降上場した企業、アントレプレナーオブザイヤーノミネート企業、中小企業国民フォーラムノミネート企業、合計して約900社に質問票を送付し、70社弱の回答を得た。 作成された質問票の内容があまりに複雑かつ多様であったため、回答率が低い水準となった事を反省し、今後に活かしたい。補助金によって充実したコンピュータ環境で集計結果を効率的に集計することができ、興味深い発見もあった。その一つが、価値観が変わるような成功体験の有無を経営者・起業家に伺った項目で、成功体験を経験する経営者・起業家は、学生時代(48%)<就職(77%)<起業後(86%)というような関係を示した。起業家のコンピタンスのなかで、なぜ起業家がリスクを取って精力的に仕事ができるのかを説明する定量的な調査結果である。松田修一教授は、このデータが国内初の調査結果である可能性を指摘する一方で、このデータを裏付けるインタビュー等の質的調査が不可欠であるとのアドバイスをいただいた。平成22年度は、こうしたアドバイスを活かしてさらに調査をすすめ、学会等への情報発信を行いたいと考えている。こうした支援を受けられる幸運に感謝し、さらによい成果をだせるように努力をしてゆきたい。 これらの成果は、平成21年9月16・17日に北京連合大学で実施された中小企業に関する国際フォーラムにおける招待講演、平成21年10月24日に行われた弘前経済学会第34回大会の招待講演につながった。
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