平成22年度の研究目的は、ベンチャー企業に対するアンケート調査表の作成、アンケート調査の実施、その結果を集計することである。新興市場に2000年以降上場した企業、アントレプレナーオブザイヤーノミネート企業、中小企業国民フォーラムノミネート企業、合計9百数十社に質問票を送付し、101社の回答を得た。 昨年回答率が低い水準となった事を反省し、アンケート調査票を見直した。価値観が変わるような成功体験の有無を経営者・起業家に伺った項目で、成功体験を複数回数経験する起業家の割合は、学生時代(28.7%)<就職(62.4%)<起業後(63.4%)であった。コンピテンシー研究の第一人者であるSpencer & Spencerによると、このように形成される自己確信というコンピテンシーは、起業家に限らず、優れた業績を上げる人材に共通の特徴として指摘している。 その他のコンピテンシーについての調査項目についても、粘り強い行動を重視する、より高いレベルの行動を目指す、失敗に対する対応、臨機応変さなど既存研究で指摘されてきた起業家の特徴的な要素が確認できた。 また、1980年代のベンチャー企業における起業家の学歴は比較的低い傾向を示したが、今回の調査では、中退を含む大学卒は48.5%、中退を含む大学院卒は13.9%であった。ここ数十年で、ベンチャー企業における起業家は高学歴化しているといえる。 こうした支援を受けられる幸運に感謝し、さらによい成果をだせるように努力をしてゆきたい。
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