本研究の目的は、インターネット上のクチコミ(以下「ネットクチコミ」と呼ぶ)が受信者に及ぼす影響に関して、以下の3点を実験によって明らかにすることである。 (1)ネットクチコミの質的影響 ネットクチコミの発信者に対して受信者が認知する類似性には、さまざまなものがあるが、これを本研究ではネットクチコミの質的影響として捉えている。このうち「属性の類似」と「属性間の関係の類似」が受信者に及ぼす影響を測定することが1つめの目的である。 (2)ネットクチコミの量的影響 ネットクチコミを参照する受信者は、同じ関心対象に関する多数のネットクチコミを参照し、その意見分布やネガティブ・ポジティブ比率の判断などを意識的・無意識的に行い、そこから自らの意見に影響を受ける。このような多数のネットクチコミによる影響を本研究では量的影響と捉える。本研究の2つめの目的は、この量的影響において、ポジティブなクチコミとネガティブなクチコミの比率が及ぼす影響を測定することである。 (3)質的影響と量的影響の比較 以上のネットクチコミの質的影響と量的影響のどちらが、より受け手に強い影響を及ぼすのかを比較することが、本研究の3つめの目的である。
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