研究概要 |
平成21年度の研究は,ベイジアンモデリングによるID付きPOSデータを用いた計量分析として行った.ID付きPOSデータとは,総合スーパーやスーパーマーケットで日々蓄積されている番号化された形で個人が特定できる時系列購買データであり,最も集計されていないデータである .研究は,マイクロ・マーケティングの現象に関連した消費者来店行動の解析をテーマにし研究した.特に本年は消費者のforward looking行動に焦点を当て研究を進めている.この課題は,昨今マーケティングサイエンス研究で脚光を浴びつつある新規性の高い研究であり,今後益々発展を望まれている研究課題であるといえる. 具体的には,消費者の小売店舗でのブランド選択行動と売上に対して期待プロモーションと呼ばれる潜在変数が影響するかどうか,影響する場合どのような構造でどの程度影響するかをベイジアンモデリングの枠組みでモデル化し,評価している.モデル化は階層ベイズモデルおよび状態空間モデルの枠組みで行い,その推定にはMCMC法とKalmanフィルタと呼ばれるアルゴリズムを用いた.モデルは実際のID付POSデータへ適用し,その有効性の検証を行った.その結果,提案モデルが有効であることが示唆されている.
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