研究課題/領域番号 |
20530384
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研究機関 | 滋賀大学 |
研究代表者 |
久保 英也 滋賀大学, 経済学部, 教授 (10362815)
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研究分担者 |
酒井 泰弘 滋賀大学, 経済学部, 特任教授 (40093760)
前田 祐治 滋賀大学, 国際センター, 特任准教授 (70456747)
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キーワード | 生命保険の買取 / 必要責任準備金比率 / モンテカルロシミュレーション / 信用リスクスプレッド / 資本市場との融合 |
研究概要 |
研究実施計画に基づき進めている主な3本の研究テーマのうち、平成20年度は、研究が先行している久保分「生命保険買取制度のキャッシュフローの把握と証券化スキームの提案」の論文をまとめた。なお、同論文は、2009年10月に日本保険学会全国大会で報告した。 報告の概要は以下の通りである。生命保険買取市場が世界的に拡大する中で、大きな買取手数料や被保険利益の乏しい契約の買取りなど、契約者保護、投資家保護上の問題が顕在化している。その一方で、買取市場は、保険会社が対応しきれない契約者ニーズを引き受けていることも事実である。きめ細やかな規制は今後も重要であるものの、本来的には市場の監視機能を高めることによりこれらの課題に対応する次元に来ている。 まず、市場の監視を働かすには透明な買取価格の形成が必要と考え、価格構造の明確化した。価格評価については、従来の保険料の算定基礎であった伝統的な安全率フレームワークをとらず、必要責任準備金比率という確率論的責任準備金概念を持ち込み、モンテカルロ・シミュレーションにより適正な買取価格を算出した。 試算結果は、保険を契約者から買い取る現在の市場価格はかなり低く、多くの手数料と買取会社の超過利益が存在することを明確にしている。今後、(1)買取コストの公開など価格構造の透明化、(2)買取事業者のリスク対応力の引き上げ、などにより、買取に伴う契約者への還元を高めることが可能となると結論付けた。 なお、この論文は、日本保険学会発行の「保険学雑誌」2009年9月号に掲載されることが決まった。
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