研究課題/領域番号 |
20530384
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研究機関 | 滋賀大学 |
研究代表者 |
久保 英也 滋賀大学, 経済学部, 教授 (10362815)
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研究分担者 |
酒井 泰弘 滋賀大学, 経済学部, 特任教授 (40093760)
前田 祐治 関西学院大学, 経営戦略研究科, 准教授 (70456747)
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キーワード | 破産確率 / ART / 保険の買取制度 / 規範と文化 / ジャンプ課程 |
研究概要 |
平成21年度は、(1)確率論的アプローチを用いた生命保険料の算出、(2)伝統的な保険料計算との比較、(3)生命保険買取ファンドの買い取り価格の評価が研究目標であった。このうち、(1)、(2)については、定期保険、終身保険をベースに、各年齢1000通りの乱数を与えて、保険料の価格評価を行った。そして、(3)を評価するために、この方式を用いて、市場での価格が不透明との批判の強い、生命保険の買取価格を算出した。 その結果は、2%の金利水準を前提にした生命保険の買取会社の売上高粗利率は、39.4%にも達し、契約者の保険契約がかなり割安に買取られている実態が明らかとなった。日本でもやがて誕生するであろう生命保険の買取制度を公正に運用するための方策を、以下のとおり提言した。(1)買取に関する価格構造を可能な限り開示し、市場の監視機能を働かせること、(2)投資家や契約者はこれらの情報を基に、悪質な買取会社を選別すること、(3)買取会社が提示した契約時の予想平均余命と実際に投資家が保険金を受取るまでの期間とを開示し、余命予測結果の検証を行うこと、(4)個別の買取会社への対応として、低金利局面において粗利益率の上限を意識した、監督機関による契約者還元の促進指導、(5)標準下体契約の正確なリスク評価を可能とする余命診断会社の育成、(6)買取会社の資本力強化(一定水準以上の資本力を有する企業のみ買取会社として認可)、などである。 このような研究は前例がなく、新しい分野を切り開くことができた。また、多くの生命保険契約者が将来この恩恵に属する可能性があり、社会貢献の観点からも極めて重要な研究であると考えている。
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