研究概要 |
本研究課題に関連して、保険商品に関する情報開示性-透明性-を徹底する試みとしてライフネット生命の「生命保険の原価開示」が挙げられる。同社は、従来「企業秘密」とされてきた保険料の内訳を2008年11月に開示し、生保業界に波紋を呼んだ。同社のホームページには「保険料内訳表」が掲載され、それを参照すれば、保険料が純保険料と付加保険料にどのように分解されるか、その傾向を把握することができる。たとえば、「家族への保険」(定期死亡保険、無配当、無解約返戻金、男性)で、保険金額を1,000万円とすると、20歳で保保険料は月額1,092円、内訳は純保険料が695円、付加保険料が397円、となる。また30歳では、保険料月額1,328円、内訳は純保険料が890円、付加保険料が438円、となる。契約者はコールセンターに問い合わせることで、自身の契約の保険料について「分解情報」を得ることができる。 このように保険料の内訳を開示し、透明化することで、契約者は「自分はこの保障額自体にいくらの対価を支払い、かつ生保会社が提供するサービスに対しどれだけコストを負担しているか」を明確に理解できる。「品質」と並んで商品の購入意思決定のための重要な要素である「価格」が透明になることで、保険商品の合理的購入促進が大いに期待されるところである(以上、出典は江澤稿「生命保険の販売チャネルについて(3)-ネット生保のケース」『金融財政ビジネス』10,130号、pp.16-18)。
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